聖書の小ネタや、豆知識などを紹介する、聖書チョコット噂噺です。
今回はイスラエル🇮🇱のお祭りプリムのお話です。
キリスト教では今、レント(四旬節)の真最中ですが、ユダヤ教の国イスラエルでは本日3月10日はプリムのお祭りです。
このお祭りは、毎年ユダヤ暦のアダル月の14日に祝われます。、西暦では2月の終わりから3月の前半に、この日が巡ってきます。今年2020年は3月10日です。
旧約聖書に書かれたエステル記の出来事を記念して行われる祭りですが、この日には、ユダヤ人達はシナゴーグで、エステル記を声に出して朗読します。イエス様が生活していた時代(新約聖書の時代)以前から現代に至るまで、プリムの祭りをユダヤ人はお祝いしています。2400年以上の歴史があるお祭りです。
と言うわけでエステル記を講談風にご紹介致します。講談ぽく声に出してお読みください。
講談風 エステル記
時は紀元前5世紀、ペルシア帝国スサの都での出来事です。
バビロンの捕囚から大帝国ペルシアによって解放されたユダヤ人
時の王は、クセルクセス王(別名アハシュエロス王)大臣はハマン
このハマン、相当器の小さい男でございます。
ユダヤ人モルデカイに恥をかかせられた事を根に持ち、
ユダヤ民族の絶滅を画策する悪大臣ハマン。
まんまと王を丸め込み、ユダヤ民族絶滅の勅書を帝国中に公布致します。
ところが先のユダヤ人モルデカイ
なんと、なんと王妃エステルの伯父でございました。
モルデカイの知恵を受けた王妃エステル
民族存亡の危機に面したエステルは、命を賭けて王に直訴。
悪大臣ハマンの謀略は、失敗に終わり絞首刑と相成りました。
斯くしてアダルの月13日に、絶滅の運命からユダヤ民族は救われたので御座います。
これがユダヤの祭り、プリム始まりの物語でございます。
詳しくは聖書をお読み頂きます様、お願い申し上げます。
主なる神(YHWH)が命じた例祭ではありませんが、プリムは聖書に次の様に書かれています。
こういうわけで、地方の町に散在して住む離散のユダヤ人は、アダルの月の十四日を祝いの日と定め、宴会を開いてその日を楽しみ、贈り物を交換する。エステル記9:19
ユダヤ人が敵をなくして安らぎを得た日として、悩みが喜びに、嘆きが祭りに変わった月として、この月の両日を宴会と祝祭の日として、贈り物を交換し、貧しい人に施しをすることとした。 エステル記9:22
新約聖書にプリムは登場しませんが、ヨハネによる福音書5章の祭りが、それではないかと言われています。(9月の「ラッパの祭り」との説も有り)
こののち、ユダヤ人の祭があったので、イエスはエルサレムに上られた。ヨハネ5:1
プリムの日の夜と次の朝、ユダヤ人は皆会堂に集まり、エステル記の巻物を開けて朗読します。
現代では、どちらかと言えば子供のお祭りの感がするプリム。子供たちは、いろいろな騒音を立てる道具を持って参加します。そして、朗読中に悪役ハマンの名が出るのを待ち構えていて、ハマンの名が聞こえないようにガラガラを鳴らして大騒ぎします。ハマンの名前は約60回登場しますが、名前が出る度にこれをくり返します。家庭に帰ってもお祝いです。浮かれ騒ぎも許される日です。パーティを開いて、仮装行列などもしたりします。この習慣は、15、6世紀頃イタリアのユダヤ人の間でその地のカーニバル(謝肉祭)の影響で始まったと言われます。
この日にユダヤ人の家庭を訪ねますと、ヘブライ語で「オズネイ・ハマン」(ハマンの耳)と言う名前の3角形のクッキーが出ます。これは近代になってからの伝統のようです。参考 引用元 http://myrtos.co.jp/info/judaism03.php#Q11
コロナウイルスが問題になっている今年のプリムは、どうなるのかな?
『アハシュエロスの前のエステル』ティントレット作 伊 1547年
敵をなくして安らぎを得た日として、悩みが喜びに、嘆きが祭りに変わった...エステル記9:22
旧約聖書の時代、ユダヤ人は度々異国の支配に合い、離散の生活をしていました。民族絶滅の瀬戸際から救われた奇跡的な出来事。エステル記のユダヤ民族救済ストーリーは、来たる終わりの日の出来事を連想させます。イエス様達も祝われたであろうプリムの祭り、そんな思いを巡らしながらエステル記を読んで見ては如何でしょうか。
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